靖国参拝で浮かれる事なかれ
安倍政権の全体を見れば解る戦後レジュームの解釈

年末になって安部首相が靖国神社に電撃参拝した。
増税や新自由主義路線で阿部に不信感を抱いたり非難していた保守層と呼ばれる人間たちが、 手のひらを返したように大喝采している。
「安部ちゃん良くやった」「疑って悪かった」「これからも安部総理を信じます。

いつも保守言論人が馬鹿にしている、一つの表面的なことに一喜一憂している連中と同じ行動をとっている。
この勢いに乗って、TPPや特区を通しても「靖国参拝した安倍さんを信じます!」とスルーしてしまうのではないかと 思うほどの勢いを感じる。 事実、チャンネル桜の言論人たちでさえも、増税したときはどうなるかと思ったけど「靖国参拝したからオッケー」 とでも言わん勢いでほめちぎりぶりだ。
私から見れば、安部総理は小さな部分で保守層が喜ぶ行動を行っているが、 肝心な部分では保守層の思想の逆の選択をしてきている。
これまでの安部総理が決断してきたこと、そしてこれからほぼ決断しそうなことを見れば、 安部総理にとっての「戦後レジューム」とは何を指すのかが分かってくる。
そしてそれは、私の思想では受け入れがたいものだ。

○安部総理がここ一年で行ったこと。
a アジア来訪(中韓を除く)
b 消費増税決定
c 公務員の給与を削減前に戻す
c 生活保護費を賃上げする
b TPP参加に意欲を示す
a 沖縄普天間基地移設を全身させる
a 秘密保護法の確立
a 韓国へのスワップ一部停止
a 中国韓国との首相会談を行っていない
a オスプレイ導入
b 経済特区構想を語る
b 解雇規制撤廃を語る
b バイマイアベノミクス 投資を呼び込む為の演説
b 岩盤規制を打ち砕くと発言
b ニーサ導入で投資を呼び込む
b 眠っている貯金の投資運用を目指す
b 法人税減税
b 労働者増税
b 日銀の金融緩和
b 日銀法改正ならず(通貨発行権は取り戻せず)
? 靖国参拝

ざっと思いついたものが上記だ。
ここに小生の主観で分かりやすくする為に記号を振った。

bは言わずもがな、新自由主義的な政策だ。規制を撤廃し外資を呼び込めば日本は成長できるという思想だ。 そればかりでなく、金融屋を呼び込むような発言も目立つ。 挙句の果て、サラリーマンをイジメつつ企業優遇という二極化路線をとっている。 これらをあわせると、新自由主義の中でも、現在のアメリカのような、富めるものはあらゆる手段を講じて富んでいき、 貧しいものは使い捨てられても仕方がないという主義に沿っている方針を打ち出している。 つまり安倍政権にとって「小泉竹中路線」「グローバル化」「自由化」 「金融ありきの経済」というのは、戦後レジュームには入らないようだ。

cは今回の分類の中には入らない政策だ。ただし生活保護等を厚くする財源は税金なので、 やはり労働者にとって厳しい路線をとっているといえよう。

注目のaである。これは主に外交関係。内容をみると中韓には手厳しく、 アメリカには以前の関係を取り戻そうとしているのがわかる。

a,bを見比べると、安部総理の狙いが見えてくるのではないだろうか。
bで徹底的に新自由主義的な思想に沿って推し進める方針を貫き、 aではとにかく中韓に手厳しい。
つまり安部総理にとっての「戦後レジューム」とは、 中韓にたかられ続けた日々をさしているように思える。 中韓の悪影響から脱する為のアジア外交,機密保持法,スワップ停止,オスプレイ導入。 だけれども、いわゆる小泉竹中路線については、 保守陣営の前ではかろうじてやんわりとした否定をするぐらいで、 それ以外の場所では先頭を突っ走っていきそうな勢いである。
安部総理にとっては、明治維新によって変えられてしまった日本というものは 「戦後レジューム」に入っていないのだ。
あくまでWW2以降の中韓についてのみ考えているのだ。
あとはせいぜい、自主防衛力ぐらいだろう。深読みしても米国依存体制からの脱却までのようだ。


さて、ここでもう一度一覧表を見てみよう。
靖国参拝は「?」になっている。 保守言論人は「靖国参拝は魂の問題だ。だから靖国参拝した安倍晋三を信じるのだ」 と言っているが、本当に安部総理自信は「魂」とやらに突き動かされて参拝したのだろうか?  あるいは保守層へのアピールや中韓の牽制としての「政治の道具」としての参拝だったのでは無いだろうか?  一連の流れから推測してみたい。

靖国問題というのは、朝日新聞が火をつけて以降、中韓が騒ぐことにより外交問題になって世論を騒がせてきた。
しかし今回は中韓の懸念を承知の上でタイミングを図って参拝をした。
つまり、今回の靖国参拝はbの項目に入るのではないか。中韓に屈しないという意味合いでの参拝なのではないか。
保守層が望む、祖先への感謝とか魂などの思いはあまりなかったのではないかと私は推測する。
もし保守層の言うように魂の問題であるならば、やはりしかるべき日に総理大臣として参拝するのではないだろうか。


この私の推測が正しいかどうかは、安部政権が今後、新自由主義路線を継続していくかどうか見ていけば分かるだろう。
安部政権の役割は中韓の悪影響を取り除くことに尽きるのではないかと思う。そして、それだけで良いと思う。
中韓を排除した後に、新自由主義やグローバル化の凋落とともに安部政権は沈んでいくべきだろう。
安倍政権を避難しているわけではなく、そういう流れなのだろう。
安倍晋三の発言には、藤井参与のいうような経済的理念からの強靭化の思想もなければ、 田園風景を守っていきたいという思いも全く持っていないように見える。
おそらく安倍晋三の抱いている青写真は、明治維新の焼き直しではないかと思われる。
日本が一気に変革することによって力強い成長をしてくというイメージをもって動いているように思える。

すくなくとも、靖国参拝に行ったから安倍さんを信じますとか増税には目をつぶりますとかいう輩は、 民主党を応援した連中や倉山信者と同じような、零百でしか考えられない連中と同じだと思う。
そして私の理屈と経験からすれば、彼らを説得することは不可能であり、説明は無駄である。 それでも、中韓の毒を抜くという、全体としては間違いなく良い方向に進んでおり、説得不能の連中も其の部分に対しては 味方なのだから、決して悪いことばかりではないのだろうし、よのなかそうやってぶつかり合って遠回りしながら進んでいく、 この不合理性こそが正常なのだろう。
最後に、靖国参拝でわっしょいわっしょいでTPPやグローバル化や規制緩和が進んでしまう可能性があるという指摘は、数ヶ月前に三橋氏がチャンネル桜内でしていたことを付け加えておく。



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